ヒザイミズキの、日々の旅 ブログ編

(元)俳優、ヒザイミズキの日々は旅のように。

七夕ですが、関係ない話をひとつ

骨は珊瑚、眼は真珠 (文春文庫)
読了
「南の島のティオ」に続いて池澤夏樹フェアー
短・中篇からなる そういうもののたいがいがそうなのだが、面白いのと面白くないのがある でも途中で止めると「このあとのやつが実は一番面白いんだよ」と言われた時にくやしいので読む
面白かったやつ>>
「アステロイド観測隊」 一番いいバランス 南の島で留置場にはいりたくなる
「北への旅」 ブラッドベリ火星年代記」を思い出す ちょっとセンチメンタルにすぎるところをかわいいと思えるかどうか?
(ちなみに今手元に本が無いのでいろいろ間違ってたらすいません)

世の中って、世界ってもっと汚くて大変で何かのスイッチを切らないと正気じゃ生きていけないような直視したら心が壊れちゃうようなことがたくさんあると、あたしはおもっているのだが、そして作者もたぶんそう思っているのだが、それでもこの人はすごいきれいなイメージをたくさん持っていて、上に書かなかった作品もそういうきれいなイメージを共有するには、とても有効

表題作は「死んだら骨を粉にして海に撒いて欲しい」と頼んで死んだ夫が、言いつけどおり行動する妻をみている、という話 ほんとにそれだけ その過程はとくに面白いわけでもない ただ、砕いてすり潰した骨を沖縄の海に流し、それと一緒に泳ぐというイメージ に、つきる

実は私自身、「死」という恐怖を覚えてからその恐怖にどう対応していくか、という人生の最終防衛ライン上にある主題にたいして、今のところ一番有効なのが『「原子」が様々な物質に形を変えながら永久に循環する』というイメージに他ならない
宗教に頼るよりは、科学に頼りたい と、いうことかもしれないし、 「肉体は消えるが魂は残る」よりは「魂は消えるがかつて肉体だったものたちは残る」の方が信じられるってことかもしれない

さて、実際に私が死に直面したときでもこの小説のように「墓参りなんて偽善はしないでいい」なんていえるもんでしょうかね