6月25日(木)
***
わたしは父に似ている
四角い顔、ギョロっとした眼、短い手足、
怠け者で偏屈、勉強ができて運動は苦手、
最近はおどけた時の表情が自分でも引くくらいよく似てる
私はお父ちゃん子だった
母はしっかりものでエネルギッシュで愛情深かったけど、
映画館でジャッキー・
父の本棚には萩尾望都や藤子不二雄やますむらひろしの漫画がたく
父には一度しか怒られたことがない
小学生の頃、他の子のことを、塾で一番下のBクラスだから、
そうやって他人を馬鹿にする子はいくら勉強ができても全然偉くな
私は当時運動ができなくて学校でさんざん馬鹿にされてるのに、
もちろんわかってる
父は病気のデパートだった
若い頃から糖尿病でアルコール依存症だった
当然高血圧だし眼も悪くなったし肝臓も胆管も肺も悪かった
救急車に4回運ばれたし何度も入院した
父は6年前に死にかけた
心筋梗塞で意識が何日も戻らず、
看護師でもある叔母は もう延命治療しない方がいいんじゃないかと言ったくらいだった
でも(本当にいろいろあったけど)復活した
その年の9月に私は男児を出産した
いま、じーじと5歳の息子はとても仲良しだ
図書館で絵本をたくさん読んでくれるし、
じーじが挿し木で分けてくれたミニトマトはいま、
一度死にかけたあとは、一生無理かと思ってた断酒を成功させ、
ここ2年くらいはめっきり元気で、
今年3月から、コロナのアレで、
息子は会いたがったけどzoomやSkypeにした
6月は父の誕生日 70歳の古稀祝い
自粛もそろそろ良いだろうと思って姉一家も含めて集合してお祝い
もし あのまま会わないように(会わせないように)していたら。
もし 倒れる2日前に「サツマイモ植えるけど来ない?」
病院に向かう間中、頭の中をぐるぐるとまわった
古稀でプレゼントした名入れのタンブラー 最初聞いたときは要らないって言ってたけど実際はとても気に入っ
倒れたそのときも、母によると、そのタンブラーに麦茶を注いで、
その最期の麦茶は、母が冷蔵庫に取っておいて翌日大事に飲んだ
***
これを病院で書いているいま、父はまだ死んでない
脳がほとんど死んでいて呼吸は人工なので、
父は私の半神なんじゃないかと、思えてくる
小さくなって死にゆく半神を、(まだ比較的)
医師に 何時かは分からないが、
人は簡単に死ぬし、そう簡単に死なない