ヒザイミズキの、日々の旅 ブログ編

(元)俳優、ヒザイミズキの日々は旅のように。

忘れることについて

無事、33回目の誕生日を迎えることができました。
いろいろなものごとに感謝。
晴れた空。生命の息吹く気配。春が大好きです。

1年前の今日、寒さと不安となぞの罪悪感に震えて、あての無い怒りに震えて、出社したのが遠い昔のよう。
たった1年で、と思うかもしれないけれど、忘れるっていうのは、生きていくうえで最強の武器。
戦争を忘れ、地震を忘れ、同時多発テロを忘れ、洪水を、大火を、飢饉を、人種差別を、忘れて馬鹿みたいにあっという間に立ち直り、馬鹿みたいに同じことを繰り返す。
「この痛みを忘れないように」とか「不幸を繰り返さないように」とか、それって完全に意思の力で、力任せに本能を捻じ曲げていて、理性、いわば人間の人間らしい部分の発露で、
それに対して忘れるというのは、自分を守り健康に生きていくための動物的な部分で、
これはわたしの意見だけど、
どっちがいいとか 悪いとか そんなことではない
忘れないで人間的にあろうとする努力は自由だし
忘れて動物みたいに健康に過ごすのも自由



昨日NHKのニュース9で取り上げていた、札幌の姉妹が人知れず亡くなった話。
生活保護だら障害者支援だら、そういう仕組みや役所の融通のきかなさについて、したり顔でコメントするのはやめて欲しい。
その人たちが、世界の片隅で、さいごまで懸命に生きたということ、そして真冬の札幌で暖房もなく、食べ物も身寄りもなく、しかし誰を殺すことも奪うこともせず死んだということ、その様を想像したい。
けれどわたしは、わたしたちは、忘れる。
忘れないでいることはできない。
そしたら思い出したらいい。
そのために映画だって演劇だってある。


忘れる。思い出す。悼む。祈る。また忘れる。また思い出す。
それでいいと思う。