ヒザイミズキの、日々の旅 ブログ編

(元)俳優、ヒザイミズキの日々は旅のように。

何が残酷かなんてわからないぜよ

サル学の現在 (下) (文春文庫)

サル学の現在 (下) (文春文庫)

『サル学の現在(上・下)』を、やっと読み終えた(2回目)
様々なサルの生態・群れ社会の研究(主にフィールドワーク)中心の上巻に比べると、下巻はより細分化された「分子生物学」や「遺伝学」的なアプローチや、また逆にサル学に留まらず霊長類全体、はては生物世界全体を含んだオウギョウで哲学ちっくな話まで、やや読み手が苦労する内容だったのだ

数日前の日記にちらりと書いたが、その下巻に、「チンパンジーの子殺しとカニバリズム(=食人行為、転じて共食い)」というテーマがある 子殺しについては初めはハヌマンラングールというインドのサルで発見され、今では多くのサルや他の動物でも観察されている 一夫多妻のハレム型の群れを作る動物では、一般に別のオスが群れを乗っ取った後、前のオスの子供を殺すことが「繁殖戦略(自分の子孫をより多く残すための行為)」という理由で説明されている
チンパンジーの場合、殺した赤ん坊をオトナのオス数匹で食べることがある そのとき群れ全体が異様な興奮状態に陥り、赤ん坊の肉は残すところなく食べつくされる 普通の肉食とも繁殖戦略とも違う、一種の儀式的な行為なのではないかとも言われているが、詳しくは不明

今日TVで「トリビアの泉」見てたら丁度『ライオンは群れを乗っ取ると前のオスの子供を皆殺しにする』とかいうのがあって、そんなのサルでもあるよ!とかちょっと思ったが、実際に子供ライオン(超かわいい)を殺す映像が流れて、なんか、痛々しい残酷なイメージを野生の(特に)肉食獣に持たせるTVの動物番組とか(トリビアは動物番組じゃないけど、女性タレントが「いやー」みたいになる)、嫌気がさすのだが、そういう擬人化、感傷的なものの見方は科学者には持ち合わせてないもので、それはそれで、感傷(かわいそう!とか)の感覚をなくしてしまうサイエンスの方々も別の意味で異様な、恐ろしいものであるからして、そのどちらでもありどちらでもない、感傷的でも有り得て客観的でもある、そういう立場でいろんな物事を見ていられたらいいのに、と思ったのであった

書いてから、そういえば最初に読んだ高校生の時、おんなじようなことを思ったなあってことを思い出した 3歩歩いて2歩下がる