ヒザイミズキの、日々の旅 ブログ編

(元)俳優、ヒザイミズキの日々は旅のように。

朝焼け、稽古、時間堂の遺品。

やっと晴れ、と思ったら夕方ひと雨。まだ肌寒いけど、毎年着る機会が少ない春物のコートを無理やり着る。
明け方、目覚ましが鳴る前に目が覚めると、細い窓から真っ赤な朝焼けの光が差し込んでいて、このまま起きるかもうちょっと布団に入っているか悩んでるうちに、フツーの、ただの、色のない朝日になってしまった。
子どもが起きてしまうのを気にしてたけど、起きてしまったとしても、真っ赤な朝焼けを見れば良かったかも、と思った。

キコ『Lullaby』の稽古は、台本まだ完成してないし配役も確定してないけど、初めて立ち稽古。

「芝居に対する変な自尊心」を棄てられたら、きっともっと楽になれるのにな。とつくづく思う帰り道。どういう心の置き方をしていくか、まだ手探り。

帰宅すると、ポストに時間堂の遺品(劇団グッズ)が届いていた。解散してから買った。自分の劇団ながら、手作り雑貨屋さんとしてなかなかのモンだと改めて思う。さすがスウさん。

SNSを見たら、クラウドファンディングしてくれた皆さまには、最終公演『ローザ』のDVDが届いている模様。私はまだ持ってないけど。特典映像で、さよならパーティ?みたいなやつも入ってるらしいです。あとトークとか。

土曜日に思いっきり噛んだ舌が痛くてたまらん。滑舌にも支障があるし。まったく。

「集団的優しさ」の圧力

一転して晴れの本日。東京の桜は昨日開花だとか。

「優しさ」について、ここ2ヶ月くらい考えている。

私は、「集団的優しさ」が苦手。

個人による、個人に対する優しさは、とても嬉しい。私が辛いとき、声をかけてくれる。私が嬉しいとき、一緒に喜んでくれる。気遣ってくれる。そんな「優しい人」、私の周りにたくさんいる。
好きです、優しい人。

けれどひとたび場が「集団」になると、優しさがとたんに息苦しくなる。集団で、みんなに見える所での「気遣い」。マナーと言うには繊細すぎる暗黙のルール。
ナチュラルボーン・優しい人にとっては何でもないような、ほんのちょっとした気遣いの言動が、私のような「そうでない人」にはできない。でもみんなやる。右に倣えで、見える所で、気遣いを見せる。「私もやってますよ」というサブテキストが見える。
「私もやってますよ」が過半数を占め始めると、「あなたはやらないんですか?」という無言の(たまに有言の)圧力が発生する。
「集団的優しさ」は「優しさの強制」を生む。

その空気に、ルールに、「ちょっとした気遣い」の「ちょっとした強制」に、
私は、馴染めない。

「集団的優しさ」ではなく、「優しい個人の集まり」にいたいんだ、という、最近の発見。


写真は、去年出会った「優しい人」。勝手に載せてごめんなさい。m(_ _)m

良くないことを良くないと言うとき

朝から雨で、一日中雨。
連休明けだが会社を休んで、某高校で演劇を使ったコミュニケーションワークショップ。
悪気無く、ノリでルールを破ってメチャクチャにしてしまうチームがあり、こういうときどういう態度をとっていいか、非常に悩んだ。
先月、某小学校でも「ある生徒のふざけた一言で、全体の良い流れが断ち切られる」っていう瞬間があって、その時も悩んだ。
悪気が無くても、良くないことは良くないと言うのは大事。それを言わなきゃ、何しに来たかわからない。でも、その言い方ひとつ、伝え方ひとつで、生徒の心にどれだけ負荷がかかるのかは、見た目ではわからない。

足が遅かった小学校時代、運動会が終わった時に、
悔し泣きしているリーダー格の女子に
「あんたのせいで負けた」
と言われた記憶が、何十年か経ってもまだくすぶっている。

相手より立場が強いとき、強ければ強いときほど、気をつけなきゃいけないな、という自戒でした。
実際にはどちらのケースも、先輩方の真摯な対応をみて、勉強になりました。

【告知】解散後の初舞台はキコ『Lullaby』5/2〜4

「今後の活動予定を教えてくださいね!」と言われること多々、やっと、告知できることがあり、嬉しいと同時に気持ちを引き締めております。
昨年末に時間堂が解散してフリーになり、なかなか苦労しています。どれだけ自分がホームに甘えていたのか、どれだけ時間堂が自分の演劇や自分の気質に合っていたのか、思い知る日々でした。

「もういっそ、真面目に会社員やろうかな」と思った矢先、自分が面白いと思ったカンパニーの募集だからやっぱり受けてみよう、と応募したのがキコでした。ご縁があって良かったです。

ぜひヒザイを今まで応援してくださった皆様に来て欲しいのですが、ゴールデンウィーク中の3日間だけの公演で、いつもすぐ売り切れてしまうそうです。
チケット発売は3/25、下記の予約フォーム、私に連絡いただいても大丈夫です。
予約フォーム(ヒザイミズキ扱い)追記しました!
http://ticket.corich.jp/apply/81028/011/

SF、恋愛、不倫、戦争、そして、救済。

多分、面白いですよ。

劇場で、お待ちしています。


—-intro

ATMがもの珍しい存在となり、自動販売機が街から姿を消した。新聞は戦争の可能性について論じた。
ほどなくして僕は、スマートフォンを持てなくなった。働くのに、生きがいを求める時代は終わった。
そんな時に、彼女と出会った。
海岸沿いを歩いた。長い橋の先には小さな島があり、僕たちはその島を【くろがね】と呼んだ。

「最後の恋だと思っていました。
くろがねのお蕎麦屋さんで食べたおまんじゅうの味を忘れません。
弁財天で投げた賽銭の軌道を忘れません。雨と熱と春を、わたしは忘れません。
忘れませんから、どうか、もう二度と、わたしを思い出さないでください。」

それから3年が経った。
僕は内臓を損傷し、使い物にならなくなった。
そうしてまた、この街に戻ってきた。
友達にお土産を買ってきた。友達の家の玄関を開けた。
ああ、そうか。
あれは僕にとっても最後の恋だったんだ。
恋の実感は癌のように全身に転移する。
空の群青も
春の痛みも
夢の残滓も
君の笑顔も

どうか
ぜんぶ嘘だと言ってくれ

—–


キコ/qui-co. 8th development 「Lullaby」
http://www.qui-co.net/

【脚本/演出】 小栗剛(キコ/qui-co.)

【キャスト】 
佐藤健
東澤有香
小栗剛
(以上、キコ/qui-co.)

百花亜希(DULL-COLORED POP)
鶴町憲
川上憲心(劇団川上風情)
春名風花(プロダクション・エース)
宍戸香那恵
ヒザイミズキ
柘植裕士
植松 俊 (エッグスター)
袖山 駿
阿部薫
中村美沙

えりか(エチカ/BLASH)


【スタッフ】
演出助手:神近梨子
映像:荒船泰廣
照明:松本 永( eimatsumoto Co.Ltd. )
音響:杉山碧(La Sens)
当日制作:黒田哲平(voyantroupe)
制作:佐藤有限会社

【劇場】
ザムザ阿佐ヶ谷 〒166-0001 東京都杉並区阿佐ヶ谷北2-12-21
TEL:03-5327-7640  http://www.laputa-jp.com/zamza/main/

【タイムテーブル】
2017年
5月2日(火) 19:00
5月3日(水) 14:00/19:00
5月4日(木) 14:00/18:00

※GW期間となります

【チケット料金】
3,500円 全席自由

未就学児童入場不可